論文「Trapped by Their Own Light」がACSAC 2026に採録されました
交通標識認識(TSR)は自動運転車の安全と効率を支える基盤技術ですが、ステッカーの貼付やレーザー投影といった物理的な敵対的攻撃に対して脆弱であることが知られています。従来の攻撃手法は、人間の目に付きやすい、あるいは大型の投影装置を必要とし現実の道路に展開しにくい、という課題を抱えていました。
本研究では、物理パッチの展開しやすさと光を用いた攻撃のステルス性を兼ね備えた新たな攻撃ベクトル「Adversarial Retroreflective Patch(ARP)」を提案しました。ARPは、周囲の光の下では目立たず、被害車両自身のヘッドライトが当たったときだけ反応する再帰反射材を利用します。物理ベースの再帰反射モデリングとブラックボックス最適化により、走行シナリオで90%以上、市販のTSRシステムに対して60%の攻撃成功率を達成し、ユーザー調査では通常の標識と同程度のステルス性が確認されました。あわせて、2枚の偏光フィルタを組み合わせた防御機構「DPR Shield」を設計し、一時停止標識と速度制限標識に対して75%以上の防御成功率を示しています。本成果は2026年12月にロサンゼルスで開催されるACSAC 2026(採択率19.3%)で発表されます。早稲田大学・慶應義塾大学・カリフォルニア大学アーバイン校の共同研究です。
【論文情報】
Go Tsuruoka, Takami Sato, Qi Alfred Chen, Kazuki Nomoto, Ryunosuke Kobayashi, Yuna Tanaka, Tatsuya Mori, “Trapped by Their Own Light: Deployable and Stealth Retroreflective Patch Attacks on Traffic Sign Recognition Systems,” Proceedings of the 42nd Annual Computer Security Applications Conference (ACSAC 2026), Los Angeles, CA, USA, December 2026.